2012-05

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はじめに

 アメリカは銃社会です。基本的に君子危うきに近寄らずですが、諸々の事情で行かなければならない場合は、護身術をおすすめします。また、目次は、画面右下のものをご利用ください。ブログに書き込んだため、最終章がはじめにの次に来ています。

 


 

21世紀サバイバル・バイブル (集英社文庫) (文庫) 柘植 久慶(著)



出版社 / 著者からの内容紹介
この一冊があなたの生命と財産を守る!
NY9・11テロを予見した話題の書、待望の文庫化。自然災害から犯罪まで、日常に潜むオールクライシスに対処するマニュアルを完全網羅。この一冊があなたの生命と財産をすべての危機から守る!

内容(「BOOK」データベースより)
この一冊があなたの生命と財産を守る!台風、地震、噴火などの天災。熊、猿などの動物被害。全てを焼き尽くす火災。マラリア、エボラ出血熱などの伝染病と風土病。航空機事故、鉄道事故、海難事故。強盗、通り魔、ストーカーなどの犯罪。カード詐欺、ネット詐欺。さらには各種テロ、核・化学兵器攻撃―あらゆる危機への対処法を伝授する究極のマニュアルが、待望のハンディーサイズで登場。



護身術 クラヴマガ







14、番外編・韓国見聞録

初の海外一人旅


 韓国旅行も、1989年で今から20年も昔の話になった。光陰矢の如し。韓国旅行は、浪人時代に河合塾予備校の現代国語講師竹国友康先生に推薦していただいた。国際感覚を養おうと言われていたのだ。そこで、私は大学の春休みを利用して、大阪から下関へ。そして、下関から出航している関釜フェリーを利用して玄界灘を越えた。ちなみみに竹国先生は、韓国関係の本を二冊出版されており、韓国の専門家でもある。

参考:『ある日韓歴史の旅 鎮海の桜』(朝日選書622 朝日新聞社、1999年3月刊)、『韓国温泉物語―日朝沐浴文化の交流をたどって』 岩波書店、発売日: 2004/3/16


 私は、韓国が初めての海外旅行だった。直前まで、JR新大阪駅のカレー屋でアルバイトをして、約一週間の旅程に10万円の旅費を用意した。飛行機は利用せずに、海路を選択。フェリーは、学割が効いたので、片道6900円という低料金が魅力だった。現在では、高速フェリーが出ているが、当時は釜山沖に一晩停泊してイミグレーションオフィスが開くのを待つという気長な旅だった。

 旅のスケジュールには余裕があったが、心中は穏やかではなかった。むしろ緊張の極み。旅行というよりも「冒険」に近いノリ。当時の私は、韓国語はもとより、英語もできない。しかも、韓国は反日感情がもっとも厳しい国だ。果たして、無事に帰ってこれるのだろうか?とまでは、考えなかったように思うが、夜もあまり眠れなかったという訳でもなく、結構眠ったのだった。  


さっそく、釜山で睡眠薬強盗に 


  船の中で知り合った九州大学の医学生と一緒に釜山デビュー。地図を持って、街中をウロウロしていたところを、スーツを着たサラリーマン風の二人に流暢な日本語で声をかけられた。彼らは、会社が創立記念日でお休み。そこで、これから日韓親善のためにも飲みに行きましょう、となった。友人と相談したのだが、彼らの身なりもキチンとしている、大丈夫だろうと考えて飲みに行った。

 しかし、飲みに行った刺身屋で焼酎に睡眠薬を混ぜられて、私と友人は昏睡させられてしまった。昏睡する直前に、首と太ももの付け根を手で押さえられた。恐らく軍隊で習ったのだろう。ぞっとして、笑ってごまかしながら、 相手の手を払いのけたが、そこからの記憶がない。約一時間して目覚めると財布の中身が抜かれていた。友人は、まだ昏睡中だった。起こしてみると、彼の財布からも金は消えていた。二人合わせて5万円ほど失った。

 ただ、私は街中でスリに会ってはマズイと考え、スニーカーの中敷の下にある程度金を隠していた。運よく、この金は無事だったので、店の支払はすませた。ただ、医学生の体調が悪かった。ホテルに戻るため、介抱していた医学生をタクシーに乗せた瞬間、うっ、俺って孤軍無援での兵士みたいでカッコいいなどと瞬間的に思ったりもした。この期に及んで、酒と睡眠薬、自分にも酔っているのだから仕方がない。しかし、酒に睡眠薬入れて動脈を押さえるなど、言語道断である。これは小さな戦争だ。また、店ごとグルかもしれなかった。しかし、帰りのタクシーのおじさんは人柄が良く、韓国も捨てたものではないなと、これまた、すぐ思ったりもするのだった。



 犯人は、当時30才くらいだったから、現在(2011年)で、50才くらいか。二人ともがっしりした体系。主犯格の男は、色白で眼がつり上がったサラリーマンタイプ。もうひとりは、本当かどうかは知らないが、柔道の選手で国体で結構いいところまで行ったと言っていた。主犯格の顔は、もう忘れたが、柔道の方は特徴のある顔だったので、今でもよく覚えている。

 
 この事件では、やはり、反日感情の深さを思い知らされた。ただ、外国で地図をひろげて歩いたり、親切に話しかけてくる人を信用してはいけないのは、海外旅行の初歩の初歩、基本中の基本なのだが、それが分かっていなかった。本当に情けない。私たちは、あまりにも甘い日本の大学生だった。

一方、インド帰りは、ガールフレンドをゲット



 その後、どうも胃の調子も悪く、妙な脱力感があった。お金を失ったので、宿泊料の高いホテルをキャンセルした。また、ソウル行きの旅費も失った。そこで、宿泊料の安いドミトリータイプの愛隣ユースホステルへ移った。 そのユースは丘の上にあり、教会も併設されていたように思う。素晴らしいユースだった。私は、まだ、韓国人の多くがキリスト教を信仰していることを知らなかった。ユースで、知り合った日本の大学生たちと情報交換をすると、韓国で睡眠薬強盗に遭っている日本人学生が多いという話だった。私は、もう釜山の韓国人は、怖いのと、嫌になったのとで、食事にだけ外に出てあとはベッドでゴロゴロするようになった。

 一方、ユースには、インドから一人旅してきた猛者もおり、彼なんかは韓国は別段、どうということもない様子だった。彼に言わせると、我々二人がドミトリーに入ってきたとき、猜疑心の塊のような目をしていたのだそうだ。それで、あ、もしかして君らも、睡眠薬強盗やられたの?しかし、日韓交流で、これからの若い世代に睡眠薬やるのは、良くないと思うんだよな。だってさ、これからの日韓交流の芽を摘んでいるようなものじゃん。

 インドから帰ってきて、こっちでは、何も被害にあっていないんですか?うん、僕は、アーミージャケットを着ていたからか、バスに乗っていた時にご老人から、ものすごい剣幕で怒られた。おそらく、日本の軍国主義を老人は問題にしていたと思うんだよね。でも、彼は韓国語ができないので、どうしようもなかった。俺それよりも、街でロングヘアーの美人女子大生と知り合いになって、デートまでしてるんだ。ここに写真があるよ。え〜、すごい美人じゃないですか。

 また、ユースには、天理大学の朝鮮語専攻の日本人学生がいて、彼に通訳を頼んで警察に被害届を出しに行った。しかし、警官には、そんな小さいことで被害届を出しに来ないでくれ、ケンチャナヨみたいな事を言われて、頭に来て帰ってきたりもした。そんなこんなで、結局、一度目の旅行では、釜山のみを見て、ソウルには行かずに帰国となった。




二度目でソウルに到着

 
 しかし、悔しいので、態勢を整えて、今度は夏休みの後半を利用してソウルまで行ってきた。前半は、長野県でレタス栽培のバイトやって旅費を貯めた。このバイトは体力的にきつい仕事で、これでもかというような苦行だったが、コレくらいやって鍛えておかないと韓国では太刀打ちできないという考えである。再度、フェリーで釜山まで行き、そこから確か高速バスに乗ってソウルへ向かった。 ソウルでは、ヨクサン(駅三)ユース・ホステルに宿泊。地下鉄駅のすぐ近くにあり、新しく清潔で料金も安く、すばらしいユースだった。

 ただ、今度は、朝のソウルを散歩中に話しかけられたオッサンに、言葉がよく分からないので適当にネー(はい)と答えたら、突然、羽交い絞めにされて路地裏に引っ張って行かれた。もう一人、近寄ってきて、相手は二人となった。しかし、こっちも頭に来て振り払って怒鳴ったら、向こうも呆気に取られたのか、後を追ってくることは無かった。

 それは、ともかく、あれから十数年後に韓国の何もかもが小奇麗に見えるよなドラマが放映される訳だが、当時はまだ貧しさの片鱗が、至る所に残っていた。人の良さそうな白いチョゴリを着たおばあさんが、地下鉄駅の駅の階段に腰掛けて、小銭を恵んでもらっていた。従軍慰安婦だったのかもしれないと思った。ソウルで知り合いになった大学生は、韓国の福祉はまだまだですと嘆いていた。

 

 その後、韓国について様々な本を読んだ。政治・経済・文化への関心を深めたつもりだ。また、その後、アメリカでは韓国系のキリスト教牧師先生や韓国系米国人と知り合いになり、色々とお世話になった。キリスト教牧師先生の日本語会話の家庭教師もさせてもらったし、牧師先生の推薦もあって洗礼も受けさせてもらった。ただし、私はまったく真面目なクリスチャンとは言えないが。

 また、その後一度も訪韓していない。しかし、今年になって韓国映画の強い影響を受けた。ユンウネ主演のコーヒープリンスだ。あのドラマは、日本のものより、面白い。そして、再度、ソウルを訪れてみたい気持ちが多少強くなってきた。ただし、次回は、韓国語をある程度マスターして行きたい。街中のハングルは読めなくてもいいが、韓国語での簡単な日常会話は、やはり試してみたいと思っている。



コーヒープリンス YOUTUBE http://www.youtube.com/watch?v=FyECzDNc5vg&feature=fvwrel









 

ひとりで学べる 韓国語会話 (CD2枚 切り取れる便利な「ハングル一覧表(反切表)」付き) (単行本(ソフトカバー)) 李清一(著)

 


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テーマ:韓国旅行 - ジャンル:旅行

13、テキサス州サンアントニオ(2005)

サンアントニオへ

 9.11のテロから4年後、私はアメリカの友人を訪ねて、テキサス州のサンアントニオを訪れた。サンアントニオは、水郷再生の町として有名だが、一方、背後には広大な空軍基地が控えている。四日間の滞在中、ついに私は、私以外のアジア人を見ることが無かった。こんなアメリカの都市は初めてだった。街の中心地には、有名な「アラモの砦」があり、多くの観光客で賑わっている。

 この砦を米兵が、パトロールしている。恐らく、陸軍のユニフォームだと思うが、上下迷彩服の軍人が、怖い顔をして、ペアになったり、グループになったりして、街をパトロールしている様子を見て驚いた。そのパトロールしているグループの先頭のリーダーに、「なんだ、こいつ怪しいな」みたいな目付きで見られたりして、少し、ヤバイ思いもしたのだった。

 街中の観光は、再生された水郷・リバーサイドとアラモの砦の二つが大きな目玉だが、サンアントニオの街は、ほどよくコンパクトに出来ており、一日あれば、二つとも歩いて十分に観光できる。気候もよく、街も美しく、人もフレンドリーで、私が、今までアメリカで訪れた街の中では、ベストではないかと思う。知り合いの粋な計らいで、ジャズクラブでのパーティーに参加させてもらった。  

サンアントニオ公式ウェブサイト(英語) http://www.visitsanantonio.com/index.aspx

ワイナリーツアーヘ 

 また郊外のワイナリーのツアーにも連れて行ってもらった。メンバーは、お酒の好きな人が集まっていたようだ。弁護士、判事、TVディレクター、元アメリカ海軍隊員、保険代理店のオーナー、建設会社の社長夫妻、MBAの学生、カフェの店員さんなどのグループでワイナリーに出かけた。ここまで、高学歴で、かつ社会の上層に座するグループにまぎれたのは初めてだった。ただ、どういう訳か、疲れている顔をした人が多かった。多分、飲みすぎで胃腸が疲れているのだ。しかし、みんなワインを飲みまくり、楽しいひと時を過ごしたのだった。ただ、私は禁酒中だったので、ほとんど飲まなかった。

 また、ラスベガスで知り合いになったブルース・ミュージシャンにも会った。ラスベガスの彼のステージに何度か飛び入りをさせてもらった事がある。今回は、彼に、新作CDを録音中のスタジオを案内してもらった。彼は、もう音楽のみに集中する生活になったと語っていた。後日、その新作を取り寄せて聴いたが、すばらしいサウンドに仕上がっており、やはり流石だと唸らされた。

San Antonio Travel





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テーマ:アメリカ - ジャンル:旅行

12、911テロ直前に帰国

911テロ直前に帰国

 結局、滞在ビザが切れた私は、2001年アメリカで起きた9.11テロの前日に帰国した。昨日まで住んでいた国が、テロ攻撃を受けていることに戦慄を覚えた。ワールド・トレードセンターの崩壊とともに、私の中の何かも崩れ去ったように感じられた。

 その後、一時快方に向っていた不安・パニック障害が再度悪化した。ある朝、近所を少しジョギングした後に気持ち悪くなり、頭痛と過呼吸が激しくなった。脳内出血が始まったような感覚があり、死が迫ってくる恐怖に囚われる。

 医者から安定剤、抗鬱剤、そして睡眠薬が出ていたが、一方、眠気や吐き気などの副作用がきつかった。私の場合、普段から眠たいことが多いので、眠気を誘発するような薬は、本当に困るのだが、無理をして飲んでいた。

 


 

玄米菜食と半断食



 一方で何か病気への突破口があるだろうという予感もあった。

 スティーブン・セガールの刑事映画「グリマーマン」を見ていたら、彼が相棒を漢方薬局に連れて行き、「西洋医学は病気を長引かせ、東洋医学は病気を根本から治療する」というシーンがあった。そして、本屋で東洋医学について探してみた。

 本屋では、断食と生菜食で難病を治す西式甲田療法を発見し、その日から実践した。体はすぐに回復して、現在では薬も飲んでいないし、体力も以前よりついてきた。
 
 断食したり玄米菜食して身体の毒が抜けた私は、今までに感じたこと無い感触を味わっていた。一言で言えば、頭の回転が速くなり、今まで見えなかったことが見えてきた。


 


 断食博士の「西式健康法」入門―病気にならない秘訣 (単行本)




容(「BOOK」データベースより)
疲れない、病気にならない―体質は変えられる。現代医学を超えた“目からウロコの健康法”のすべて。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
甲田 光雄
1924年大阪府生まれ。日本綜合医学会会長。幼い頃から病弱のためさまざまな大病を経験。大阪大学の医学部に進学するも、自らの病を根治させることのできない現代医学を見限る。その後、実体験をもとに数多の民間療法を探究、ついに「断食」「生野菜食」「西式健康法」などを組み合わせた独自の医療哲学「甲田メソッド」の開発に至る。大阪府八尾市の甲田医院において現在も難病とされる患者に接し、圧倒的成果をあげている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



 一番の驚きは、「人間は元来仕事をしなくても良い生き物だ」という思想を知ったことだろう。動物は、仕事して生きている訳ではない。高等な生物と考えられている人間だけが、仕事をしているのである。

 自給自足の世界では、現在、パーマカルチャーという技術が発達し、個人での水や食物、自然エネルギー等のライフラインの確立が可能なのである。しかも、この生活は、環境を破壊しない。仕事しなくても生活できる方法は、存在しているのである。ただ、自給自足では、税金を払うことができない。これを権力者達は当然嫌うのである。

 そんなことが分かったのも、ベジタリアン世界を通じての事だった。また、ベジタリアン化して食材を無農薬米・野菜にしたため、有機農業への関心が高まり、有機農業団体を介して、農業実習に通ったりもするようになった。有機野菜は、ミネラル・ビタミンが多く含まれており、美味だし、また農薬の心配が無いので、安心して食べられるのが素晴らしい。

こうして、アメリカの物質至上主義的な世界にどっぷり浸かった反動からか、私は自然農法・有機農業の世界への関心を高まってきた。日本では、新生児の三分の一がアトピー・アレルギーを持っている。子供達に安心できる食材を提供する仕事もいいなと考えるように至り、有機農業の研修に出かけてみた。また、世界を牛耳っているイルミナリティの存在を知るようになった。ただ、イルミナリティの存在には半信半疑である。

 


自然農への道 (単行本)



内容(「BOOK」データベースより)
編著者の川口由一が就農後、農薬や化学肥料を使った農業を続けることで心身を損ね、いのちの営みにまかせ、自然の理にかなった農業を模索し、1970年代後半に自然農にたどりつく。以来、30年余りにわたり、不耕起・不施肥・無農薬で稲作と野菜の栽培をおこない、全国各地の自然農の指導にもあたる。「耕さず、肥料、農薬を用いず、草や虫を敵としない」という教えや「耕さず、持ち込まず、持ち出さない」という3大原則は、すべてのいのちの営みを大切にし、環境に負担をかけずに実りに結びつける自然農の技術をあらわす言葉として知られている。

内容(「MARC」データベースより)
耕さず、肥料・農薬を用いず、草や虫を敵とせず、自然の営みにまかせる自然農。生業としての自然農、家族で取り組む自然農、プロの販売農家としての自然農など8カ所の実践事例をもとに、取り組み方の基本を提示する。

自然農法 わら一本の革命 (単行本(ソフトカバー))

内容(「BOOK」データベースより)
耕さず、草もとらず、肥料もやらず、しかも多収穫!“現代の老子”が語る無の哲学と実践。

内容(「MARC」データベースより)
田も耕さず肥料もやらず、農薬も使わず、草もとらず、しかも驚異的に実る稲が実証する緑の哲学。世界が注目する日本の自然農法、自然食の原点や、行きづまるアメリカの農業などを紹介。1983年刊の新版。




テーマ:アメリカ - ジャンル:旅行

11、アメリカ滞在と護身術(1998-2001ラスベガス)

頭痛とパニック障害

 

 ラスベガスはトラブルが多く、会社で観光客のクレーム処理をしていた私はストレスの塊と化していた。また、ムチ打ちの後遺症なのか、仕事中に激しい頭痛があった。病院では、ストレス・パニック障害と診断され、抗うつ薬と痛み止めが出された。そこで、私は旅行代理店を辞めて、もっと楽な日本へのアンケート・リサーチをしている会社に移った。

 ラスベガスはカジノのギャンブルからの収益が大きい。そして、その収益に依存しているため、ホテルやショップ、その他のサービスでの接客態度が他の観光地よりも劣っているのだ。その結果、ツアー客とトラブルが起こりやすい。実際、ラスベガスで発生するクレーム件数は、都市別で世界一だった。あまりにもクレームが発生するために、日本からマネージャーが来て現場を見て回ったが、どうも、これじゃあ、仕方ないなで帰ったようだ。

 こうして、私は土壇場に来て正規の旅行関連の正規労働ビザ取得を諦めてしまった。当然、永住権への道も閉ざされた。実際、頭が痛くは、物事を考えられるような状態でもなかった。アンケート・リサーチの会社も続けることができなかった。そこで、もう、いい、帰国まで少し猶予があるから、その間は好きなことをやろうと考えた。運良く、前述の交通事故の保険金が手に入った。


ブルース・ジャムセッション


 そこで知り合いのブルースバンドのリーダーに頼んで、飛び入りでギターを弾かせてほしいと頼んでみた。すると意外にも、じゃあ、ライブで一曲弾いてみろとなり、私は足しげくギターをかついでハウス・オブ・ブルース(HOUSE OF BLUES)の入っているマンダレイベイ・カジノホテルへ通い始めた。

 本場アメリカで、しかもエンターテイメントの本場ラスベガスでギターを弾く。考えただけでも、緊張する。日本のライブハウスで何度かギターを弾いたことはあるが、今回はバンドのレベルがまったく違う。よく飛び入りのチャンスを与えてくれたものだと今でも思う。

 飛び入りも回を重ねるごとに、徐々に緊張も解けてくる。また、24時間営業のブルース・バーでのジャム・セッションにも参加して演奏を重ねた。ハーレー・ダビッドソンにに革ジャンスタイルの客が集まるワイルドな小屋だ。しかし、ジャム・セッションは誰でも参加が可能であり、地元の音楽通やカジノで演奏しているプロミュージシャンが演奏している。

 よく出入りしていたのが、ダブル・ダウン、サンド・ダラーズ、ブルーダイアモンド・サルーンだ。どちらも24時間営業のライブハウスだ。ダブル・ダウンでは、月曜日の夜にビル・チェリーがジャムセッションを主催している。誰でも参加可能。ビルは、普段図書館で働くインテリだ。そして、ここでは、フリーという友人ができて、彼からDITTO(同じ)と呼ばれるようになった。

 このフリーという人が面白い人で、格好はヘルス・エンジェルなのだが、いつも酔っ払ってニコニコしている。そして、口癖が「IT IS ALL GOOD!!(なんでも素晴らしい)」。`EVERYTHING IS GONNA BE ALRIGHT(すべて良くなる)`というのは、レゲエの歌詞でもよく耳にするが、フリーの人生哲学は、それを超越していた。どんな悪いことが起こっても、なんでも素晴らしい,なのである。

 また、ライブハウスで出会った黒人のボーカリストに、俺と一緒にやってみないかと誘われるようになった。彼は、ポロタワーという会員制のカジノホテルのスカイラウンジで自分のショーを切り盛りしていた。スカイラウンジのマネージャーは、ベトナム帰還兵であり、睨みを利かせていた。ミュージシャンには、酒をあまり飲ませないというポリシーを持っていた。どういう訳か、ラスベガスのミュージシャンには、お酒の好きな人が多い。

 大体、演奏している場所は、バーなので、また、音楽をやった後に、疲れを取るという形で、私もお酒をかなり飲むようになっていた。24時間のバーでは、友人も増え、彼らの多くは、私よりも年配という事もあり、お酒を飲ましてもらう機会が増えた。   


ベーシストの銃武装

 

 こうして、ブルース・バーのジャム・セッションで知り合いになったフィリピン系アメリカ人ベーシストと彼の友人と仲良くなり、私のアパートで飲むことになった。このミュージシャンも元軍人で、彼の友人も元軍人で、当時、コンピューター関係の仕事をしていた。

 皆で、アパートのキッチンで飲んでいたのだが、ベーシストが持参のピストルを取り出して、部屋の隅に乱射する仕草を始めた。なんだ、でっかいライターだなと思っていたのだが、よく見ると本物の銃であった。

 ベーシストは、ベトナム戦争にバンドマンとして行っている。彼の相棒は、元海軍であり、その仕草を見て笑っていた。危ないので、私は、彼の銃を良く見せてくれと頼み、手にしてから、銃創の取り出し方を聞いて取り出し、別々に保管しようとした。すると、「俺の銃返してくれ!!次に何が起こるか誰にも分からない(You never know what will happen next!!)」

 しかし、彼はバンドマンとしてではあるが、ベトナム戦争に行っているので、言葉には重みがあった。アメリカは、銃社会であり、銃撃事件が頻発している。本当に、いつどこで、何が起こるか分かったものではないのが、アメリカの現状である。その時に備えて、ベーシストは自分の銃を合法的に携帯しているのだった。

 私が、最初のアメリカ横断旅行で知り合いになった日本人留学生が、クラスメートの兵役を終えた韓国人留学生に教えてもらった話がある。彼によると、普通、銃というのは、5メートルも離れれば、もう当たらないものだそうだ。そこで、ホールドアップされたら、相手の銃を蹴って、ダッシュで5メートル離れれば良いらしい。実際に、その韓国人留学生は、ニューヨークの確か、ハーレムで強盗に遭い、銃を蹴って難を逃れている。

 しかし、兵役で武道を経験するから、蹴れるのであって、普通、一般人には蹴れるものではない。まず、的に正確に当てれるのかどうか。そして、蹴っても、スピードが遅いと、その蹴りを取られて逆に制圧される場合もある。軍隊式では、相手の手首をひねり返して、銃を取り上げる方法もあるが、これは、相当練習していないとリスキーな方法だろう。

 ラスベガスの友人の中には、合気道を頑張って稽古している友人もいたが、彼も夜のスーパーの駐車場でホールドアップされてしまった。また、ガイド仲間も朝のスーパーの駐車場でホールドアップされ、40ドルを取られた。 要するに人の少ない時間帯は狙われやすい。

 さらに、友人のアイスクリーム屋にも、拳銃強盗が入り、アルバイト店員の女子高生を脅して、数百ドルを奪っている。この店では、私も少し働かさせてもらった。女子高生だけでは危険だというので、大人の男が必要だから入ってくれと頼まれたのだ。私は頭痛があるので最初断っていたのだが、断りきれずに少し働かせてもらった。

 ある夜、友人と二人で店番をしている時に、どう見ても拳銃強盗とおぼしき人物が客として入ってきたのだが、結局アイスクリームを注文しただけで、出て行った。どうも、こちらの考えすぎだったようだ。しかし、あの時は、緊張の極限を体験していたように思う。さらに、近所の24時間、スーパーマーケットにライフル男が侵入。店員数名を射殺するという痛ましい事件も起きた。


護身術が基本

 

 
護身術 クラヴマガ






 日本で、人からアメリカへ行く際には、空手か何か武道をやっておいた方が良いのかと聞かれることがある。それはもう、当たり前でしょう、相手は銃を持っている可能性があって、こちらは手ぶらなんですから、と私は答えている。前述のように、私も、高校のクラブで少林寺を稽古し、社会人になって合気道も二年やった。時間を作って、筋トレも続けている。

 しかし、それでもピストル強盗は防ぎようがない。どうしてもというなら、クラブマガか功朗法で、ピストル対応の護身術を身につけるしかない。あるいは、とことん、射撃訓練を積んで自衛するか。しかし、銃で正当防衛して、相手を傷つけて、仮に殺した場合、その十字架を背負っていきていけるのかを考えたると、やはり君子危うきに近寄らずが正解だ。

 私は、単に運が良かっただけで、強盗に遭っていないが、一度、二日酔いの朝に、アパートの近所のアンちゃんと口ケンカになり、彼の手に小型のナイフが握られていたことがあった。そんなものしまえよ、で事なきを得たが、あの時は冷や汗が出た。

 こんな事もあり、私は一時期、ポケットには、財布を二つ持っていた。ひとつは、ピストル強盗に差し出す分だ。使わなくなったカードを入れてカモフラージュし、現金も普通に持ち歩く分くらい、例えば、60ドル位は入れておく。こうしておけば、ホールドアップされても、運転免許証やカードまで取られることがない。再発行はめんどくさいものだ。

 ただし、普通アメリカ人は、財布に免許証を入れているので、お前、財布に免許証が入ってないじゃないかと、突っ込まれる可能性はある。かつてのルームメイトが、やはり確かレストランでピストル強盗に遭遇している。彼は、剣道二段だったが、恐らく、強盗の顔を見て判断したのか、財布を出すことを拒否している。

 それで何も無かったというのだから、こういう剛の者も中にはいる。コンビニやレストラン強盗に遭った場合、普通は、強盗の顔を見ないように財布を渡す人が多いそうだ。これは、強盗が顔を見られるのを嫌がるためで、そのことに気を利かせて財布を渡しているのである。

 これらの、自己防衛について、究極のハウツー本が出版されている。私が読んでいたのは、柘植久慶先生のサバイバル本だ。何しろ、元アメリカ陸軍特殊部隊の教官でもあった著者の本である。彼は、9.11のニューヨークでのテロも本の中で予見していた。本の内容の濃さは、折り紙つきである。

 著者が披露しているのは、小銭をポケットにたくさん用意して、相手の目へ投げつけるというもの。突然の反撃に怯んでいるうちに、逃げるのだ。アメリカに旅行・留学・移住する、いずれも人も、この本に、一度目を通すことを強くお勧めしたい。

 

 


 

21世紀サバイバル・バイブル (集英社文庫) (文庫) 柘植 久慶(著)



出版社 / 著者からの内容紹介
この一冊があなたの生命と財産を守る!
NY9・11テロを予見した話題の書、待望の文庫化。自然災害から犯罪まで、日常に潜むオールクライシスに対処するマニュアルを完全網羅。この一冊があなたの生命と財産をすべての危機から守る!

内容(「BOOK」データベースより)
この一冊があなたの生命と財産を守る!台風、地震、噴火などの天災。熊、猿などの動物被害。全てを焼き尽くす火災。マラリア、エボラ出血熱などの伝染病と風土病。航空機事故、鉄道事故、海難事故。強盗、通り魔、ストーカーなどの犯罪。カード詐欺、ネット詐欺。さらには各種テロ、核・化学兵器攻撃―あらゆる危機への対処法を伝授する究極のマニュアルが、待望のハンディーサイズで登場。



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Author:ヒロ(男)
マーケティング会社に勤務後、米国ネバダ州へ移りました。旅行ガイド働きましたが、交通事故に遭い、帰国。以後、不ルーターです。音楽的には、80‘sバカです。

 

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